では、寡占化によって、どんな問題が発生するのでしょうか?
寡占化は、良い点と悪い点があります。

良い点は、「良いものを安く買えるようになる」です。
市場を占めている大手企業は、大量仕入れ大量生産によって、製造原価を下げることができます。その為、私たちはより安い価格で商品を買うことができます。
確かに、ニトリの商品は「お値段以上」ですし、オリジン弁当ののり弁は、安くて美味しいです。どちらもお得感があり、コスパが良いです。庶民の味方って感じがしますよね。
しかし、悪い点の方が、美容業界に大きな影響を与えると私たちは考えています。
それは、「寡占化になると、大手企業が価格決定権を持つ」ということです。
生存競争に勝ち残り、市場を独占した数社の大手企業たちは、談合したかのように価格をコントロールすることができます。

最近の例では、大手携帯電話会社の3社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク)が、スマートフォンの契約内容や料金体系がほぼ同じ状態で、ライバル企業同士の値引き合戦が行われず、問題になりました。
これに関しては、政府も名指しで批判しています。
格安SIMが登場して、一部では安い料金でスマホを利用できるようになりましたが、機械やシステムに弱いご年配の方々は、いまだに大手の携帯会社を利用し、高額な通信代を払っています。
他にもいくつか例を上げると、下記のようなものがあります。
クロネコヤマトが配送料の値上げをした為、それに便乗して、佐川急便、日本郵便も配送料を値上げし、配送料の相場が上がってしまった。
ユニクロが、軽くて暖かいフリースを格安で発売した為、消費者から「フリースは、1000円~2000円程度で買うもの」という考えが浸透した。その為、他のアパレルメーカーは、高額なフリースを製造しても売れなくなってしまった。
QBハウスの台頭により、「お父さんのカット代は、1000円で充分」という考えが浸透した。その為、個人経営の理容室の多くが、廃業に追い込まれつつある。
などです。
寡占化って、とても怖いですよね。
では、美容業界ではどうなのでしょうか? 私たちは美容業界でもこの寡占化による問題は起こると思っています。

例えば、「カット+カラー」が1980円 というメニューを大手チェーン店が出してきたら、どうなるでしょうか。
その価格が消費者の標準価格になってしまいます。
しかし、個人経営のサロンが、1980円で「カット+カラー」ができるでしょうか?
100人施術しても、売上は20万円くらいにしかなりません。これでは、家賃と水光熱費、材料代を払ったら、ほぼなくなります。
これらは極端な例ですが、将来的にこうなる可能性は充分あると思っています。
実際、10年前と比較して、「カット+カラー」の相場料金は、確実に下がってきています。もちろん、他のメニューの平均価格も下がっています。
では今後、大手チェーン店などが、大幅値引きをして来たら、どうすれば良いのでしょうか? 個人店も負けないように値引きをして対抗するしかないのでしょうか?
次は、寡占化への対策についてお話します。